【はけんねこ ~NNNと野良猫の矜恃~】猫の一生は「かわいい」だけではダメ

ネコたちはなにを考えているんだろうと、ネコを眺めながら考えることがある。

おそらくネコたちは、人間の言葉がわかっているだろう。

人間も、ネコの言葉がわかったらいいのに。

目次

【はけんねこ ~NNNと野良猫の矜恃~】のあらすじ

野良として生きるのがむつかしいネコの世話をする、野良ネコたちの組織 NNN。「おせっかいは焼かない」と言いながら、困っているネコにそっと手助けをする。

「ちぎれ耳」はそんなやつらのリーダーだ。

第一章 新顔

ちぎれ耳の住む界隈に、貫禄のある新顔の野良がきた。力も強く、なれあいもせず、だが最低限の礼儀も心得たオス「タキシード」だ。

野っ原で出産中をカラスに狙われた若い母ネコのその後が気になっていたちぎれ耳は、必死に仔ネコを守って死んだ母ネコと残された仔ネコを見て途方に暮れる。

「どうにかしてネコを飼ってくれる人間のところに仔ネコを斡旋しなければ」と動くちぎれ耳は、偶然にも同じように動いていた新顔とともに新しい飼い主候補の家へと仔ネコを運んだ。

第二章 めずらしい猫

サビ猫のオスはめずらしい。

……という人間の都合で追いかけられる「オイル」は、さっぱりした気性の若いネコ。人間に飼われるんじゃないかと心配するともだちネコの「ふくめん」が心配する。ちぎれ耳は2匹を連れて爺さんネコのところへ行った。

昔はイケイケボスねこだった爺さんは、交通事故に遭ったところを人間に助けられ、飼い猫となった。定期検診やら予防接種やらの話を聞いて、3匹は飼い猫も楽じゃないとさとる。

しかし、災難に遭って骨折をしてしまったオイルは、みんなの説得もあって治療のために人間に保護されることを選んだ……

第三章 あんこ婆さん

界隈で長生きだったあんこ婆さん(ネコ)が亡くなった。

しかしあんこ婆さんは尾が二股に割れていたため(人間には見えない)「猫又」となって(人間には見えない)帰ってくる。婆さんを亡くした飼い主がペットロスでいつまでも悲しんでいるのを見ていられないあんこ婆さんは、自分と同じもようの仔ネコを斡旋しようと、NNNのメンツの尻を叩く。

ようやく仔ネコを見つけて、元の飼い主が住んでいる家に連れていったが……

第四章 害獣

野良ネコたちがたむろするCIGAR BAR「またたび」

今夜もみんなでまたたびを味わっていると、野良アライグマがやってきた。BARはネコの憩いの場だが、アライグマもルールを守るならとマスターが譲歩する。

ラスクという名のアライグマには人間に捨てられた悲しい過去があり、同情したネコたちはゆるい仲間意識を持ち始めた。

しかし、ネコと違って雑食のラスクは近所の畑を荒らしまくり、ついに人間に見つかって「害獣」として追われることに。

NNNのネコたちはみんなでラスクを探しに出たが……

第五章 ゆみちゃんとちゃーちゃん

あんこ婆さんが真っ白なお嬢さんネコを連れてきた。

聞けば捨てられたわけではないが事情のある、元・飼いネコのちゃあこだった。ちゃあこはゆみちゃんに飼われていたが、二人暮らしの母親が亡くなり、突然知らない人間が来たのに驚いて家を飛び出していた。

ちゃあこは気丈に自立した野良生活を学びながら生きていた。

だがある日、ゆみちゃんを引きとった祖父母が家を見にきて、ちゃあこはゆみちゃんと遭遇する。

ダウン症のゆみちゃんは祖父母にちゃあこのことがうまく説明できず、ふたりは離れ離れに……

「ネコとかかわる」にもの思う

子どものころからさとうはネコが好き。もふっとしたりなめらかだったり、撫でたときの感触も好き。

ネコがおもしろいのは、人間にかまってほしくてすり寄ってくるときもあれば、超マイペースでまったく人の言うことを聞かないときもあるところ。

ネコには詳しくないけれど、友人の家でネコに触れるときは幸せな気持ちになる。

そんなていどしか知らなかったネコの世界の、ちがう一端を見せてくれたこの本。

どの話にも、切ない情が漂っていた。

さとう

そうだよねぇ。飼いネコと野良ネコじゃ、生きる環境がちがうもの

人間の世界では少なくなってしまった、ほどよいかげんのおせっかい。

無関心でもなく、正論の押しつけでもなく、他人(他猫)と関わるのはむつかしい。

さとう

まあでも、この話は、人間が考えたネコの話だけどね

保護ネコのテレビ番組も見るけど、悲惨な状況から救われたネコが多くて、よかったと思う反面悲しくなる。

ネコたちは、自分のおかれた状況をどう考えていたのか。

この本のネコたちのように、なんとか生きてくれるといい。

ネコに「かわいい」ばかりを追求してはダメだろう。

人間は動物をモノ扱いするときもあるし、自分たちの都合でつきあい方を変えたりする。

ペットを飼う、ということは、子どもを育てるのと同じくらい責任と手間がかかることを理解してほしい。

さとう

気分が乗ったときだけ撫でたり遊んだりするものじゃないのよ

さとうがこの本を読んだ理由

もともとネコ好きな人間が、本屋の平積みでこの本を見つけたら、そりゃ買いますわ。

チラッと中身を見てネコが語る話におもしろさを感じたので、そりゃ買いますわ。

読んでからアレ、これはシリーズものだったのかとわかったけど、あとでほかのも読めばいいわと思ったので、ついでのように紹介しとく。

読んでほっこり、切なさにちょっぴり反省、くりかえし読むのにすごくいい本だ。

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この記事を書いた人

昭和生まれ。なのでリアルな顔写真はご勘弁を。
オタクという言葉がなかったころからSFを読んでいます。
オタクのはしくれなので読んだ本を紹介します。

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