【スマホ脳】スマホ中毒にはなりたくない

いまさらだけど、世界はデジタルに満ちている。

でもデジタルに頼りすぎてというか、使いすぎてというか、「中毒」「依存」「睡眠障害」などの問題も大きくなってきた。

今やなくてはならないスマホとも、うまくつきあう方法を探してみた。

アンデシュ・ハンセン(著)
目次

【スマホ脳】の内容

まえがき

コロナに寄せて──新しいまえがき

コロナ危機のおり、世界保健機関が「私たちはウイルスの感染拡大(パンデミック)に付随して、インフォデミックにも襲われている」と注意を呼びかけた。

研究を通して見えてきたのは、いい加減な設定のパソコンがハッキングされやすいのと同じように、私たちの脳もハッキングされる可能性があることだ。

第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた

人間が生き延びる確率を考えるとき、瞬時に全力で行動できるようにするのが感情だ。しかもネガティブな感情はポジティブな感情に勝る。負の感情は脅威への対処に結びつくから。

第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある

人間は強いストレスにさらされると、人間特有の最も発達したはずの「思考」ではなく、HPA系のホルモン作用による「闘争か逃走か」という選択しかなくなる。

そのとき、必ずしも「いちばん強いものが生き残る」わけではない、というところに感情や不安、うつが役割を持っていたとわかる。

第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである

ドーパミンの役割を理解すると、「かもしれない」「もしかしたら」刺激される。脳はそういう新しい刺激が大好き。私たちは脳の報酬中枢を煽られ、脳をハッキングされている。

スマホは依存に傾くことがわかっていたから、スティーブ・ジョブズもビル・ゲイツも自分の子どもにはiPadやスマホを持たせなかった。

第4章 集中力こそ現代社会の貴重品

マルチタスクができる人は確かにいる。だがそれは人口の1〜2%だ。多くの人は「脳は働きが悪いときほど自分を褒める」原則に騙されている。

マルチタスクを頻繁にやる人は、些末な情報を選り分けて無視するのが苦手。つまり「常に気が散る人はほぼ確実に、脳が最適な状態で動かなくなる」

長期記憶として定着するには時間が必要だが、マルチタスクによって間違った場所に記憶が入ったり、グーグル効果・デジタル性健忘におちいったりする。

第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響

睡眠の役割と、いかに睡眠が大事かについて。

第6章 SNS──現代最強の「インフルエンサー」

比較は喜びを奪う。SNSを使うほど孤独になりデジタルな嫉妬にとらわれる。大学生14000人の調査をすれば「共感的配慮」や「対人関係における感受性」が低下しナルシストになっていることもわかった。

あなたが今着ている服を買ったとき、なぜ買ったの?どこで買ったの?どうして買ったの?

その服を買うときにあなたの注目を支配していたのは、誰?

第7章 バカになっていく子供たち

スマホは脳の報酬系を刺激する。ドーパミンの活動がいちばん活発なのはティーンエイジャーだが、衝動に歯止めをかける前頭葉が成熟するのは25~30歳だ。

複数の調査でわかったことは、よくスマホを使う人のほうが衝動的になりやすく、報酬を先延ばしにするのが下手、つまり自制心がきかないということ。

「今の子供は即座に手に入るごほうびに慣れているから、すぐに上達できないとやめてしまうんです」

第8章 運動というスマートな対抗策

身体の状態がいい人はストレスシステムを事前に作動させる必要がない。「闘争か逃走か」の危機の場でも、その場を切り抜けられる確率が上がる。

あらゆる種類の運動が知能によい効果を与えるということだが、速足で歩くだけでも驚くほどの効果がある。

第9章 脳はスマホに適応するのか?

ロンドンのタクシー運転手を例にとり、学習をすれば記憶中枢の海馬が成長することを説明。だが運転手の試験に落ちた人は海馬に変化は見られなかったという。

私たちは何を失いかけているのか。人間はまだ進化するのか。テクノロジーで退化しないために、デジタルな道具を賢く使わなければならないし、デメリットがあることも理解しておかなくてはいけない。

第10章 おわりに

私たちがより健康に、健全に生きられるための、アドバイス。

「ゲーム脳」騒動とスマホ脳のちがい

もう死語だが、かつて「ゲーム脳」という言葉がはやった時期があった。

マスコミや教育関係者のあいだで話題になって、いろいろと誤解を生んだことばだ。

「スマホ脳」はそれとはちがう。

どこがちがうかといえば、きちんと検証できる研究かどうか、という点。

ゲーム脳についてはここではあまり書かない。

ただ、そうとうあいまいな内容の発表だったらしく、関係する多くの人からダメ出しされている。

「スマホ脳」はいろいろな研究機関の、膨大なデータから意見を引き出している。

第三者が任意で検証しようとすれば、かなり時間とお金はかかるだろうけど検証できる調査から事実を引き出している。

だから、そこそこは信じていい。

さとう

さとうは疑り深いので、マルッとは信じない

影響はあるが対策もある

さとうが買った本は発行されてわずか半月後に出された第2刷のもの。

さとう

買いに行ったときは第17刷が店頭にならんでいた。でも表紙がハデすぎて恥ずかしく、さとうは下のほうからハデではない本をとって買った

その本のオビには

  • SNSには脳の報酬中枢を煽る仕組みがある
  • "心の病"が増えたその理由
  • ツイッターに隠された「依存」の仕掛け
  • 私たちのIQは下がってきている

と、書かれたあった。そして最後に

  • 集中力を取り戻す具体的な手段

とあった。

ふつうね、こういう新しいことについての分析を載せる本って、分析結果や影響について調査したことにはたくさんのページを使う。

でも「じゃあどうすればいいの?」ってことには答えてないことが多い。

この本はちがった。

どうすれば心の平安を取り戻し、集中力を取り戻せるのかを、ちゃんと書いてくれた。

それは簡単なことだった。

適度な運動をすること。

「悪影響を受けてない」と思う人ほど、読むべし

でも、いつもの生活でガンガンスマホを使っていて、とくに困ったこともないって人がほとんどな気がするよね。

むしろスマホを使いこなしてマルチタスクをこなしている人、カッコイイとか思われているよね。

ところがきちんと条件を整えていろいろな実験や調査をすると

  • マルチタスクを頻繁にやる人はつねに気が散る人、脳が最適な状態で動かなくなる
  • デジタル性健忘(=グーグル効果)になる
  • ミラーニューロンが活性化されず、共感力がおち、ナルシズムにおちいる
  • (脳がドーパミンという)報酬をがまんできなくなる

そのほかにもいろいろと、人間に不具合をおこす事実が出てくる。

もし、最近になっていろいろなことに「自己責任だろ」と思うことが増えていたら、あなたはこの本を読んだほうがいい

自分だってツラいときに手をさしのべてくれる人がいたら、助かると思うだろう。

それなのに、ツラい状況にいる人に「自己責任!」と思ってしまうのは、共感的配慮という能力が下がっている証拠だ。

知らないあいだにあなたの脳は、デジタルに侵されて能力を下げているかもしれないのだ。

さとうがこの本を読んだ理由

スマホ脳、ってことばがキャッチーだった。

さとうは年寄りなのでかつての「ゲーム脳」騒動とどうちがうのかな、と考えていた。

それにさとうもスマホを使うから、これ以上自分の脳に不具合が増えたらイヤだなと思ったのよ。

これからの小さい子どもたちにも影響があるのか、知りたかったし。

アンデシュ・ハンセン(著)

スマホ中毒にならないための本も、ある

なお、この本にはつづく本がある。

「スマホ脳」が刊行されてからメディアの取材がふえ「うちの子の脳にいちばんいいことはなんでしょうか」という質問が多かった、ことによる答えのような本だ。

親子で読めるように、かんたんな表現でわかりやすく書いてある。

そしてどうすればスマホ中毒にならないか、私たちの脳の取りあつかいかたが書いてある。

ぜひいっしょに読んでほしい。

アンデシュ・ハンセン(著)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

昭和生まれ。なのでリアルな顔写真はご勘弁を。
オタクという言葉がなかったころからSFを読んでいます。
オタクのはしくれなので読んだ本を紹介します。

コメント

コメントする

目次