【スカーレット・ウィザード 3】のあらすじ
2代目総帥・ジャスミンを「娘だからって跡取りに認めるわけにはいかない」と息巻く重役たち。出産を控えたジャスミンの代わりに動き回る夫・ケリーのまわりで命を落とすかもな事故が頻発する。
しかたがなく、ジャスミンに許可を得たケリーは久々に宇宙へ飛び、気になっていた幽霊星を確認しに行った。
そうこうしているうちに、いろいろな出来事を乗り越えながらジャスミンは出産を迎える。
が、「出産までには帰ってくる」と言って3日の予定で外出したケリーが3日たっても戻ってこなかった。
なお悪いことに、ダイアナが搭載されている〈パラス・アテナ〉が猛速度でドッグを飛び出していった。
いったい何が起きたのか?
今回は話が終わらず「続く」になっている。
その代わりでもないんでしょうが「十一番目のダイアナ」という短編が巻末に収録されている。
嫌なヤツにはムダな時間をかけない
むかしから、嫌なヤツにはいろいろなタイプがいて、いまも相変わらず存在する。
- 疑わしい相手を怒鳴り、恫喝し、強引に連行したい警察関係者
- 「男子の沽券にかかわる」を常に主張する年配者
- 「長年尽くしてきたのに、血のつながりがあるというだけで権限が渡ってしまう」としか認識できない会社重役
- そのくせ、夫に貧乏くじを引かせて会社乗っ取りをたくらんでいる重役
- 「俺の女」呼ばわりをして暴力を振るう男
- 相手の女性が妊娠すると「責任」から逃げる男
- フラれてもフラれてもしつこく食い下がる男
- 自分がしていたことを自分にされて、悲鳴をあげる男
本からひろっただけでもこんなにいる。
日常生活でも、嫌なヤツはけっこうな種類と人数いるよね。
嫌なヤツに会ったと思ったら、できるだけ客観的に分析しよう。
情緒的に考えるとメンタルをやられる。
客観的にバラバラにすると
- 相手のカン違い
- 相手の勉強不足
- 相手の劣等感
- 相手の鈍感さ
- 相手の歪んだ思い込み
などが見えてくる。
そうするとね、「なぁ〜んだ、あんな人のことを考えている時間とエネルギーがムダだわ」と自分を立て直すきっかけをつかめる。
やっぱりね、いま必要なことを考え、勉強している人のほうが強いのよ。
「考える」って行動は誰にでもできる。
冷静に、科学的に、論理的に考える練習をしよう。
くれぐれも、ネガティブな情緒を絡ませない。
「わたし、こんなにがんばってるのに」とか、くっつけちゃだめ。
がんばっていることは自分がよくわかっているし、見ている人は必ずどこかにいるもの。
自分がドツボにハマらないために、情緒と理屈はわけておこう。
「俺の女」呼ばわりをして暴力を振るう男、からは逃げるのがよい
ジャスミンの部下が不倫して男の暴力を受けた。
事もあろうに、ケリーの部屋で。
不倫はよくないが、部下であるヘレンにも事情はあった。
で、思いどおりに返事をしてくれないヘレンにいらだった男が、ヘレンを殴る。と思ったら、男がケリーに先に殴られた。
暴力が先に出てくる男は、人としてダメ。
思考や論理で対応できない人がすることなのでね。
暴力からは逃げよう。
ありとあらゆる手段を使って、助けを求めよう。
人としてダメなヤツのために、我慢なんかしなくてよい。
自分がしていたことを自分にされて悲鳴をあげる男、は軽蔑しよう
突然だが、思いやりって何からできていると思う?
「思いやり」を辞書で調べると、「他人の身の上や心情に心を配ること。また、その気持ち。同情」と書かれている。
じゃあ、他人の身の上や心情に心を配るために何が必要だと思う?
それは知識とゆとりと想像力だ。
なかでも、想像力がないと他人のために考えるという行動がとれない。
知識とゆとりを持っていても、他人を傷つけている人間を見たことあるだろ?
知識とゆとりはあるんだろうに(思いやりがないなあ)と感じる場面を見たことがないかな?
ジャスミンもケリーも、はたから見たら非常識な行動をとるが、無意味・無自覚に他人に圧力を加えることはしない。
いつもよく考え、相手の立場や気持ちを推察して行動する。
人間は基本的にいちばんに自分を取り巻く状況を考え、次にその外側にある状況を考える。
そのとき、相手の立場や気持ちまで想像して行動できるゆとりを持っていることが「思いやり」につながるのだ。
だから、自分がされてはじめて「こんなにつらい大変なことを強いていたのかー」と悲鳴をあげる男は、軽蔑しよう。
だって、想像力の使えないなまけものなんだから。
そういう人に限って自分のことは「察してよ」と言うんだよね
さとうがこの本を読んだ理由
シリーズものは面白かったら続けて読むというのは、さとうにとってはあたりまえ。
しかもこの3巻は、話が4巻に続く流れになっている。だから1巻・2巻に引き続き3巻を読み、必然的に4巻も読む。
4巻の記事は「人生は現実、だから油断は禁物」
ますますスペースオペラっぽく宇宙でのアクションが大きく展開し、ほのかにラブストーリーっぽい香りもあって、女性には楽しい息抜きになる。
思いがけず「十一番目のダイアナ」という短編も味わえた。
感応頭脳という超高性能AIの、いわゆる誕生秘話のような話だった。
少々の切なさと、優秀なものをオレが作り出したんだからオレのいうことを聞け、という人間にありがちな間違いを淡々と指摘される展開にグッときた。
タイトルに「嫌なヤツとは早く縁を切ろう」と書いた。
実は本の最後の方で、ケリーもさっさと逃げ出す計算をするはめにおちいる。
なんとなくフツーに読み流してもいいんだけど、女性のモヤモヤをどこかで晴らしてくれるセリフを探しながら読むと、このシリーズは面白い。
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