【スカーレット・ウィザード 2】女性の人生は二者択一ではない

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【スカーレット・ウィザード 2】のあらすじ

クーア財閥の副総帥となったケリーは、会社を視察しながら現状を把握しはじめる。

ジャスミンが言うとおり、役員たちの中にはジャスミンを「お嬢さん」扱いするものがほとんどだった。

これから財閥の問題点を取り除こうと計画するふたりだったが、ジャスミンの親友が家に押しかけて来る。

それだけでも面倒なのに、夫婦にとって久しぶりにいい雰囲気になろうとしていたところに事件が起きた。

社用で使う宇宙船が一隻、消息を絶ってしまったのだ。

しかも宇宙空間をジャンプする”門”が閉じてしまい、その宇宙船を捜索する・しないを言い争うことになる。

そんななか、ジャスミンの妊娠が発覚してしまった!

妊娠の話はややネタバレですが、でも本の裏表紙に書いてあるのよ。読む前に「お?」とわかっちゃうが、ますます読む気が出てくるよね。

仕事も妊娠・出産も計画的に

ジャスミンが超ド級の肉体・精神力・知能・立場を持っているのは、1巻でご存知のとおり。

そんな忙しく非常識な行動の多いジャスミンでも、夫を迎え「その気の行動」をとれば、妊娠は可能。

本人としては計画的に進めただけのことなの。

そう、計画的に、進めた。

問題は、    

  1. 自分だけが理解していた計画だった
  2. 予測外の事件が起きてしまった

………ってこと。

女性の人生は、とにかく計画がないとうまく進まない。

仕事のキャリアと、プライベートでの希望・欲望をかなえるために、時間とお金とエネルギーをうまく配分する必要があるんだ。

女性のプライベートには、妊娠・出産という肉体的に時間的制限のある条件がくっついているから。

だからジャスミンは、計画的に正しい順序で妊娠した。

それを知らされてなかった夫のケリーは態度が冷ややかになり、妊娠についてジャスミンと話し合うもののますます頭を抱えることになる。

だってさ、

ジャスミン

それは寝言か?海賊。妊娠したのはわたしだ。従って、産むか産まないかを決めるのもわたしだ。おまえの意思など関係ない

まあね、仮にも自分の夫に「種馬」よばわりはきついよねぇ。

でも結局、妊娠するのも女性、出産するのも女性なので、男性に決定権はないと考えるほうが筋は通っている。

人生にはいろいろな出来事があり、自分の思うとおりにはすすまない。

それでも、というか、それだから、人生の計画は自分で責任と勇気をもって考えておくことが大事だ。

妊娠・出産があるからといって、仕事のキャリアを積むことを諦めなくてもいい。

支援策として打ち出されているあらゆる方法を使い倒すことを計画に入れて、人生を前に進めていこう。

大事なのは信頼できる人間関係

ジャスミンもね、すごいストレートな言い方ばかりしてあきれるのだが、信頼できる相手には真摯に向き合う。

妊娠しているのに戦闘機に乗って行方不明の宇宙船を捜索にいく、とジャスミンが頑強に主張したときも、ケリーにはジャスミンの思考が理解できたし、いざとなったら自分が助けにいくしかないのさと腹をくくっていた。

ジャスミンも、そうとは話してなくてもきっと何かあればケリーが出て来てくれると信じていたわけ。

話を読み進めるとケリーと以心伝心できていて、信頼関係があることがわかる。

親友のジンジャーや昔からの知り合いのコーエンとの間でも、ジャスミンはいつもストレートに、偏見なくつきあって来たみたい。

女優のジンジャーは

「あの人わね、わたしのように演技はしない。嘘も言わない。でも、肝心のことは何も言わない人よ。あなたの手に負えるかどうか試してみるのね」

とケリーに言っている。

他人と真摯に向き合うのは、ものすごくエネルギーがかかる。でもジャスミンは自分が認めた相手とはそうやってつきあい、信頼関係を築いてきたんだね。

仕事の場面のみならず、生きていくときに困ったことは不意に起こる。

でも、信頼できる人間関係があれば、助け合うことで乗り越えていけるもの。

「女同士は嫉妬まみれ」「女同士には友情なんてない」という三文週刊誌みたいな時代遅れの考え方は、女性ならとっくに捨てている。

信頼できるステキな人間関係を築けるように努力しよう。

さとうがこの本を読んだ理由

まあこれはシリーズものなので、1巻を読んだら2巻も読む、というフツーの流れ。

ただ、面白くなかったら読まないので、1巻も面白かったという証拠になる。

主人公は女性で、いろいろと有利な条件がそろっている人物だ。

このシリーズを読んで思うのは、彼女とまわりの人との会話の中で、女性としてはモヤッとするなという言葉が出てきて、それをジャスミンがバシッと言い返して終わる場面がまあまああるのねっていうこと。

ジャスミン自身はフツーの人とは思えないくらい優秀だけど、その彼女が人としてあたりまえだろ?と考えていることを発言しているのを読んで、ちょっとスッキリしているのは事実。

だからこのあと、3巻も読む。

その記事は「嫌なヤツとは早く縁を切ろう

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この記事を書いた人

昭和生まれ。なのでリアルな顔写真はご勘弁を。
オタクという言葉がなかったころからSFを読んでいます。
オタクのはしくれなので読んだ本を紹介します。

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