【スカーレット・ウィザード 4】人生は現実、だから油断は禁物

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【スカーレット・ウィザード 4】のあらすじ

話は3巻から続く。

頭のわるい田舎海賊に本気で怒ったケリーは、リミッターを解除して、鬼神のごとき攻撃を加えた。

自分とダイアナが消滅する可能性も乗り越えて田舎海賊団を壊滅させる。

だがようやく戻れた〈クーア・キングダム〉で、ケリーの過去について触れてはならないことに触れようとする乗組員があらわれ、ジャスミンも容赦のない采配を振るう。

やれやれと思った矢先、これ以上ないくらいの大事件が〈クーア・キングダム〉内で起きた。

どんな突発的な事件にも冷静に対処してきたジャスミンが、怒髪天を突く!

またしても話は、次の5巻に続くのだ。

悪気がなくても罪は罪

今回の田舎海賊は、頭がわるくて視野のせまい、古いタイプの悪役だ。

頭がわるいので、ロクなことを考えない。

生きている人間を「シェーカー」という機械にかけるのがどんなに酷いことなのかわかってはいる。

でも、情報を取り出すだけじゃん、としか考えてない。

針を刺したり火であぶったりしてねぇじゃん、としか考えられないんだな。

殺人事件が起きるとニュースで「殺意を否認しており」などと報道する。

あれ、必要かな?

殺意があろうとなかろうと、事件で人が亡くなっている。

そこに、罪は存在するよ。

直接、肉体的な暴行に加わっていない人間は、悪気はなかった・そんなはずじゃなかったみたいなことを言い出したり考えたりする。

でもね、被害を受けた人にとっては、そんな言いわけはどうでもいい。

誠実に反省をして罪を償ってほしいんだ。

自分が同じことをされたいと思わないだろ?

いじめの問題でもよく言われるが、被害者は苦しんでいるのに、加害者は「そんなことあったっけ」と忘れがちっていう事実が存在する。

むかしのことだとか、悪気はなかったとか、いじめじゃなくてイジリじゃんとか、自分に都合のよい言いわけをするんだ。

でも、事実は消えないし、被害者は絶対に忘れないからね?

さとう

あなたが忘れたころに、しっぺ返しがきても怒らないように

今回、そもそもケリーが田舎海賊に捕らわれてしまったのは誰のせいなのか、をジャスミンはしっかり情報収集している。

そしてそいつが助けを求めてきたときに、しっかりと思い出させるのだ。

自分の命がかかっていると悪党も低姿勢になるね。

言うなれば、人に嫌がらせやいじめはしないほうが自分の身のため、ってこと。

とくに現代は、SNSなどで未来永劫、証拠が残るから。

気をつけて。

いつ、仕返しされるかわからない。

正論の暴走には気をつけよう

SNSといえば、最近は生きていくのが窮屈になってきたと感じている。

何かあると、すぐにすごい圧で正論をゴリゴリと押してくる方々が増えてきたから。

正論が悪いわけではない。だって正論だもの。

でも、人間は生き物で、機械のように「正しい」動きや考え方だけをするようにはつくられてない。

予想外の状況やありえない事態にも、なんとか知恵をしぼって適応していかなければならない。

ジャスミンの部下もね、ケリーの過去を探ろうとしてジャスミンにたしなめられて。

なお、納得できなくて問いかけるのだ、「ふざけていないで真面目に答えてください!」って。

だってもし、ケリーが大虐殺事件の関係者だったら困ると思うから。

でもジャスミンは、ある亡霊の立場について(それがおそらくケリーに関していると二人ともわかっていて)静かに事実を語るのみなの。

そして最後に「たしかに、無差別にに攻撃するのは間違っているんだろうよ」と締める。

正論を考えることは大事だ。

なるべくよい社会にしたい、正直者がバカを見る世の中はおかしい、そう考えることに賛成する。

でも、人間のすることなので、正論だけをゴリ押しされても誰もしあわせになれない場合も出てくる。

そういうときには、あからさまな嘘ではなく方便という状況の使い方で乗り切ることも、たまにはあるのだ。

誰にも迷惑をかけないのなら、限られた状況で方便を使って人を救うのが悪いことだろうか?

亡霊の関わった事件はたしかに間違った部分もあっただろう。

いまとなっては、行方もわからない亡霊のことをどうにかしようにもどうにもできない。

それとケリーの過去を、むりやり暴いてくっつけて断罪しようとするな、とジャスミンはさとしている。

なんてバランスの取れたステキな女性なんだろう。

さとうがこの本を読んだ理由

シリーズものはおもしろければ読み続ける。ということで、4巻目だ。

1巻2巻3巻も、オススメだ。

ジャスミン

女性ならスカッとするセリフもあるぞ

なんといってもスペースオペラっぽいわちゃわちゃしたところと、いちおう夫婦のほんわかラブストーリーっぽいところが、今回も入り混じっていて楽しい。

それもこれも、ジャスミンがステキな女性だから盛り上がるわけで。

ほんと、SF初心者の女性には読みやすくてオススメできる。

5巻の記事は「母性は神話ではなく権利

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この記事を書いた人

昭和生まれ。なのでリアルな顔写真はご勘弁を。
オタクという言葉がなかったころからSFを読んでいます。
オタクのはしくれなので読んだ本を紹介します。

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