「結婚」という制度は21世紀のいま、人生のなかでどんな位置づけを持っているのかな?
まさかいまだに「人生のゴール」とか考えている人はいないよね?
【消滅世界】のあらすじ
人工授精で子どもを産むことが定着した世界。
そこでは夫婦間の性行為は近親相姦とタブー視される。
両親が愛しあって生まれた雨音は母親に嫌悪をいだき、清潔な結婚生活を送りながら夫以外のヒトやキャラクターと恋やセックスをする。
「清潔」で「正常」な生活にきしみが出るころ、子どもをもちたい夫と理想的な人生をめざして実験都市へ移住したが……雨音はしだいに新しい生活の概念に洗脳されていく。
愛・性・生殖を切りはなすとたぶん女性は肩の荷が減る
好きな人といっしょにいたいだけなのに、なんで男性はすぐに性行為へと結びつけたがるのかな?
これ、さとうはずーっと疑問に思ってた
なんでそんなにしょっちゅうサカるのかな?
知性とか理性とか思いやりはどこへいったの?
ヒトとしての脳の発達が女性より遅れているの?
もんやりと思うんだけどね、
愛と性が、表裏べったり一体になっている必要はないんじゃないのかな。
さとうは女性なので男性がどう考えているのかはわからない。
が、性行為に関することは女性には重いことが多くて、恐怖をともなうこともある。
だからこの話のように結婚(夫婦であること)と愛と性行為を分けて考える、区切りをつけてみるのはいいかもしれない。
なにも考えずに「愛 = 100%の性行為がジョーシキだろっ」って思っていると、好きな人にきらわれるかもしれないよ?
だって相手は(多くの場合、女性は)あなたと同じには考えない。
相手もあなたもひとりの人間で、それぞれに頭のなかで「こうだったらいいな」「こうしたいな」と考えている。
ソレがいつでもぴったり合うなんてことは、ないもの。
性行為はね、かんたんに生殖につながるから、女性には覚悟が必要になる。カラダの準備も必要。環境の準備も必要。
男性みたいに単なるノリだけでやっていいことじゃない。
性行為が妊娠につながることをマジメに考えない男性はきらわれるね
逆にいえば、そういうことを考えて相手と話しあえれば、より楽しい人生が歩めるってことかな。
愛とか性とか生殖は、人生の大事なテーマであり要素だから。
まるっきり無視、はできないね
男性も妊娠できれば理解がすすむ?
実験都市は子どもが人工授精で生まれてくる世界。
そこでは全員がすべての「ヒト」の子どもであり、「おかあさん」であるというシステムのなかで生活する。
すべての大人が子どもたちに「愛情のシャワー」を浴びせる存在になる。
この都市では男女問わず、ハガキが来たら受精して繁殖に肉体的に協力しなければならない。
どうかな?
男性でも妊娠したいと思う人はいるかな?
いまはムリでも、この話のように技術がすすめばできるかもしれない。
女性の妊娠とはちがうだろうけど、肉体的に体験すればどんなに大変なことかが理解できるだろう。
でもさ、そもそも子どもってそうやって「計画的に」「理想的な状況で」社会が生み出すモノなの?
たしかにバースコントロールは大事だけど、それは子どもがほしい家族が考えることではないのかな。
男性が妊娠できるようになったくらいで、社会がかかえている問題への理解がすすむとは思えない。
さとうはいろんなことを疑う人間なのでね
子どもは、生まれてからが大変なんだ。
一人の人間として自立できるまでに長い時間をかけてたくさんの経験を積まなければならない。
そして大人はそれができるように万全の手を尽くさなければならない。
もちろん事故や病気からもできるかぎり守ってやらねばならない。
子どもが生まれただけでナニカを成し遂げたように思うのはちがうよね〜
そして子どもを自分の所有物だと考えるのもちがうよね〜
この話は、猫カフェの猫をかわいがるように子どもをかわいがるのが住民の大人としての義務だという。
そして「ヒト」の子どもを育てるための「餌」とか「巣」はセンターが提供し、すべての子どもを優秀な人材に育てるカリキュラムもセンターが受け持つ。
まるで生身のロボットをつくっているみたいだ
それでも雨音は、はじめ違和感をもっていた実験都市の思想にだんだん洗脳されていく。
前に【殺人出産】の記事でも書いたけど、常識や価値観は時代によって変わっていく。
私たちは、この小説を読んで感じた違和感や共感について、ひとつひとつきちんと考えないといけないよ
よりよい変わりかたならいいんだけどね。
さとうがこの本を読んだ理由
このあいだ「殺人出産」を読んだ。
この作家の本をもっと読みたいと思った。
なぜなら、すごく考えさせられることばかりだから。
そして女性だから共感できることもあるなと思ったから。
……というわけで、この本を選んだ。
「殺人出産」の「清潔な結婚」とつながっている世界観の本だったね。
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