目次
セックスファンタジーもまた人それぞれ、な本です
人間の性欲にファンタジーの種は尽きまじ。この本には6篇の短編が収録されております。
中高年男性を性的に興奮させるのが目的らしいが……短編の説明です
「この世よりエロティック」
レズビアン小説ばかり書いていたという設定の主人公が好色な友に電話をしネタを仕入れようと
するが………オチが「ええっ⁈」ってな感じです。
「シェヘラザードの首」
首だけになってゴミ集積所に捨てられていたセクサロイドが少年と出会う話。
「たったひとつの冴えたやりかた」
同名の有名作(ジェイムズ・ティプトリー・Jr著)もあるがそちらではない。恋人に去られた女性が、その恋人が教えてはくれなかったマゾヒストにとっての究極のプレイを探す話。
「電脳娼婦」
表題作。女性を人形のように扱いますがそれは実は………の話。でもやっぱり「ええっ⁈」ってなオチ。
「少女狩り」
奴隷が奴隷をレイプする救いようのない話。
「黒猫という名の女」
超能力とセックスが絡み合う、少し未来の話。
SFってセックスファンタジーも含むの?
前回、まじめくさって「エロではなく性について」などと本(「闇の左手」)を紹介したのに、今回の本は著者も「オヤジに優しいエロSF&エロファンタジー」とおっしゃるSF度のあまり高くない作品たちです。
人によってはエロが苦手かもしれないので、そういう方は読まない方が良いです。
人によっては「これはSFではない」と憤るかもしれません。著者はあとがきで自ら「『これはSFではないっ!』と自分で言っておきます」と書かれております。
ただ。
続けて著者はこうも言っておられます。
「それにしても、なぜ、SFファンは『これはSFではない』という批判をしたがるのでしょう」
「なぜこのように安易に、おのれの主観を客観的事実であるかのように語ってしまうのでしょう」
そこには性愛に関わる小説を書かれてきた著者・森氏の、客観的で本質的な考えが込められているように思います。
ジャンルに込められている多様性を、ひとくくりに否定してもしょうがないじゃん、っていう感じなのね。
たとえば官能小説を読んで全然ソノ気にならなかったとしても「ちっともエッチな気分にならなかったじゃん」と思うくらいで「これは官能小説ではない」と断定はしないはず。
でもSF小説は、読んでいて自分の期待に沿わなかったりするとなぜか「これはSFじゃないよ」という人が出てくる。
創作の多くはファンタジー(空想・幻想)なので、いろんなものがあってもいいと思うのです。SFもサイエンスファンタジーだとしたら(おっと、偶然にもセックスファンタジーもSとFだわ)いろいろな形や内容があっても良いのでは?

ちなみにさとうがこの本を買った理由
「電脳」って言葉、今となっては懐かしいだけの死語だわね。
そう思いながら「ありがちだよなぁ、娼婦って設定」と考えたことを確認したくて買いました。
ん、まあ、プロの作家さんが書く話は、味付けが違うわね。
まとめ:本の紹介
短編が6つなので読みやすいです。そして「エロ」の要素が入っているので人によっては苦手、人によってはとっつきやすい。まあ、SFにもいろいろあるってことで。