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運命共同体って言ってる
オビにはね、文庫本のオビにはそう書いてあった。
しょっぱなのエピソードからして女性二人の運命共同を追う話やん、って感じるわよ。
もう、なんて言うか、控えめで、はっきりしていて、大人っぽいところもあって、ティーンエイジャーみたいで、古くさい因習に囚われたままの社会に反発していて、読む人の年齢を問わない話なの。

さとう
さとうみたいな年寄りでも、若いJKでも、絶対に受ける部分がある
見え見えのような、まどろっこしいような、恋愛につきものの「んもう、ちゃっちゃと告っちゃいなよ」的なところがいろいろあって、でも合間合間にちゃんとSFやっている話。
そのSF部分も、軽快でスピード感もあって。
さとうには理屈がうまく理解できないところもあったけどそんなのすっ飛ばして読んでも全然困らなくて、だけどなるほど〜とか思っちゃうような進み具合で。
楽しいSFだったわ〜。ぜひ、女子に読むことをオススメする。
SFも現実をうつす作品よね
そしてまたこの話の、巨大ガス惑星の上空で巨大な宇宙船団によって形成される「周回者社会」が、どこぞの惑星上の社会と似たような、変な慣習や偏見に満ちているところも、読んでいて「だよね〜」って笑えるポイントなんだな。
中でも比較的自由な考え方をする「エンデヴァ」という氏族と、男尊女卑がひどい「ゲンドー」という氏族の、細かいルールの違いがまるでアメリカと日本の違いにも見えて、ホント笑えた。
あとさ、女性同士のペアで船を操縦するのは認められない規則だと言って漁法と船を受け継ぐ仕組みを盲信する族長が、漁獲審査をするぞと脅すのね。
しかもそのサカナの獲り方は族長の長年の経験にもとづく秘密のやり方でないと獲れないことを族長自身は知っていて「どっちが優秀か」を競うぞ、ということになる。
こういうの、大人って言わないよ。老害だよね。
頭が固くて危機を防ぐ柔軟な考え方ができない老人だよ。
あるいはずるい老人ね。
いやあ、SFといえども理想的な社会ではない。
現実でも悩ましい問題は、遠い未来にもあるんだわねー。
ちなみにさとうがこの本を買った理由
少し前に紹介した「アステリズムに花束を」に、書き下ろし短編の形で載っていた同名の話を読んで、ワクワクしてた。
そしたら本屋の平台に、この話が長編になって一冊の文庫本になって登場したじゃないの。
うっひゃーん、読む読む、読みたい、読むしかないっ!
こういうことがあるから本屋めぐりは楽しいし、大事だわ。
この流れって、エンダーのゲーム、みたい。
まとめ:本の紹介
人類が宇宙へ進出して何千年、弦道移民船団は新しい星系に移住する。このガス惑星では男女の夫婦が大気中を泳ぐサカナもどきの資源を釣る漁業で収入を得ている。お見合いで振られてばかりのヒロイン1が謎の家出少女のようなヒロイン2と出会い、異例の女性ペアで漁獲をあげるのだが、その先には問題が山積みだった。
男の考える社会の仕組みって、もっとよく考えれば良くすることができるのに、って腹立たしくなったりバカバカしくなったりする要素もけっこう入っている。
でもそんなことより、やっぱりこれは、恋愛SF小説なのよって言いたい。
だからカバーイラストの、同人受けするような可愛らしさもオッケーなの。