私アリアドニ、16歳。戦争のせいで母の研究所から疎開させられたけど、悔しいから生物ロボットをくすねてきた。
父や母のことが心配でこっそり故郷に戻ってみたら、なんだかワケがわからない陰謀が張りめぐらされて、誰を信じたらいいのかわからない。
私の味方は誰なの⁈
少女も冒険するのだ
読んでいて、ものすごい未来の話には思えないんだけど、実は100年くらい先の未来の話ってことになっている。
軍事衛星からレーザービーム攻撃を受ける戦争の話になっていて、カナダが敵と味方に分かれているのさ。
だから主人公は、西部合衆国のデンヴァー・スプリングスにある生物ロボット研究所から中立地域ヴィクトリアに疎開させられた。
「だから」って言ったけど、アメリカ大陸の地図を眺めてみると、なんでわざわざカナダ領に「疎開」なのかがわからない。
この地域的な距離感が、さとうには今ひとつピンと来なくて、世界的な戦争になっているのかいないのかもわからない。
そしてこんな状況の中、家族のことが心配でルールを破って自宅に戻った主人公は、自宅が光襲に遭ってガレキにおおわれて真っ黒になっている様を見ることになる。
しかも「立入禁止」なる標識が立っていて、自分ちだからと思っておそるおそるガレキの中に踏み入ってみれば、ひげづらの男が現れて口論になり、父親は生きていると言い、その男は連邦側の王子の付き人だとかなんとか。
話はどんどん面倒な状況の展開となり、主人公は自分の知りたい情報を求めて自分勝手に動き回る。
そうなんだ。自分勝手に「考えて」「動き回る」んだ。
きっとこうすれば自分が望む展開になるって。
でもさ、たいていそうはならない。
お話って、主人公や読んでいる側が思う展開にはならない。
だってそれじゃあ、おもしろくないもんね?
だから主人公は、思いもかけない展開に巻き込まれていく。
そして「考えて」「動き回る」
これが冒険さ。
主人公が男の子でなくったって、冒険はあるのさ。この本の主人公は女の子なんだ。
でもやっぱり大人の男の力は必要だった
冒険はね、よく考えないと成功しない。
何が起きているのかを観察し、情報や知識を総動員し、チャンスを掴み、素早く行動する。
冒険を成功させるには、そういう動きが大切だよね。
でも結局、16歳の少女が一人ですべてをうまく運ぶのはむつかしい。
味方になるはずの人を的確に見分けようと、アリアドニは頑張るのね。
そう思うとさ、やっぱりそれなりに知識と力のある(ついでにそれなりの地位というか権力もある)大人(しかも男だった)を味方にするワケなのよ。
まあね、ハヤカワで出版されたのが1993年なので、原作が書かれたのはもっと前なのはわかる。女性が政治的・軍事的なリーダーシップを取る立場につきにくい時代なのもわかる。
でもさー、なんで大人の男の力を頼んなくちゃならんのよーと、今読むと思うわね。
母親とかそのへんの優秀な科学者が女性設定だっただけに、惜しいわー。
身内と言えども
しかし、どんなに仕事ができてそれなりの地位にいて権力もあって身内だったとしても、あんまりに勝手な親は頼りにできない。
なにしろ有無を言わさず疎開させられちゃったからね、アリアドニは。
んもうっ!って感じよ
しかもせっかく帰ってきたのに、自分に100%味方してくれてる感じじゃないし。
気をつけましょう。身内と言えども、話の流れによっては裏切られることもある。
だからアリアドニは冒険、頭を使って行動するのだ。
Fight!!
ちなみにさとうがこの本を買った理由
これは古本屋で出会った本なの。
パラパラっとめくって見たら、なんかふわっとした女の子出てるなーって思った。
むつかしくなさそうな話だったから、よし、たまにはこんな女の子主役の本でも読もうって、ふと考えたわけ。
ほら、SFで主役の女性って、大人っぽくてしっかり者が多いじゃん。
たまには女の子の話もいいなって思ったのさ。
まとめ:本の紹介
16歳少女科学者アリアドニは戦局激化の中、疎開先から故郷に逃げ戻る。自宅はガレキになり、研究所は連邦から来た人間に牛耳られているかのよう。
アリアドニは何を目指しているの?何をすればいいの?次々と変化する状況に振り回されながら、正しいと思った道をひた走る。
あまりSFチックな専門知識がなくても、ドーンと勢いで読んでしまえる話。
ちなみに原作のタイトルは LIGHT RAID。日本語にすると「光の襲撃」つまり話の中で出てくる光襲。軍事衛星からレーザービームで狙い撃ちされるんだぜ。
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