名作だから泣けるわけではない
この「たったひとつの冴えたやりかた」には「この小説を読み終わる前にハンカチがほしくならなかったら、あなたは人間ではない」というある書評家の評が紹介されている、という逸話がついてまわる。
だからさとうは、人間ではない、らしい(泣かなったのでね)
でも、この本が、名作だというのは認める。
あなたは、未知の世界へ冒険に出かける勇気があるだろうか。
あなたには、状況を正確に把握する知識と理解力がそなわっているだろうか。
あなたは、いざというとき、この表題作のヒロインのように腹をくくった決断をくだすことができるだろうか。
この三つをかみしめながらストーリーの楽しさを味わえる展開だなんて、この話自体が「冴えている」のよ。
しかもこんな思いがけない驚きとともに宇宙の旅を続け、さまざまな未知なることを学び、故郷の世界に情報を発信する。
なんて前向きなヒロインなんだ。すごいなぁ。
たとえば自分が話のなかの登場人物だったら、最終的にどんなオチになるかわからないまま、悲劇的な展開のなかを前向きに進めるかな?
そう考えると、著者は作中のヒロインにものすごい試練と賛辞をあたえている。
だからこそ、胸打たれる人もいて「名作」の声があがるんだね。

でも、さとうは泣かなかったけど
3話の中編と、それをつなぐ図書館での話の設定です
前提の環境がある
話としては3話なんだけど、それらはあるカップルの共同研究論文のために図書館司書が探し出してくれた古文書、というカタチをとってるの。
だから中編の合間につなぎとして、図書館司書とカップルの会話がる。
だから中編3話にも、はいりやすいのね。
たったひとつの冴えたやりかた
宇宙に興味シンシンだったヒロインは、16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペース・クーペで連邦宇宙の辺境へ旅に出る。冷凍睡眠にはいる前に連邦基地あてのメッセージ・パイプを拾いあげちゃったことが、彼女の冒険と人生を大きく変えていくことになる。なぜなら、彼女の頭の中に、エイリアンが住みついてしまったから………
グッドナイト、スイートハーツ
70年も冷凍睡眠を経験しながら、30歳のレイブンは宇宙の辺境でサルベージと救難の仕事にはげむ。燃料切れの豪華な船に回収救難官として乗り込んで作業にはいるレイブンは、豪華船の副操縦席の女性が、年老いたかつての恋人だと気づいて………しかし補給を終えて離れたレイブンは豪華船が悪党の船に捕捉されたことを知る。助けに向かうと、そこには恋人のクローンが若々しい姿であらわれて………
衝突
リフトと呼ばれる星の密度のうすい、連邦宇宙の北の裂け目。こちら側に連邦が存在するようにあちら側にも〈調和圏〉と呼ばれる宇宙人の世界があった。たがいのファーストコンタクトは、不運なことに、暗黒界の襲撃者たちの悪行をはさんでのことだった。言葉もうまく通じない間柄で、二つの世界は交流できるのだろうか?
ちなみにさとうがこの本を買った理由
この本の、タイトルがすごく秀逸な感じがしてね、いつか必ず絶対読むぞ、と思ってた。
ところがさ、なんでか、なかなか読みたい気持ちになれなくて。
でも買うことは買った、いつか読まねばと思っていたから。タイトル的にはすごーく読みたい感じだったのよ。
タイトルの日本語は秀逸でも、裏表紙に載ってる説明が今ひとつ興味をかき立てなかったんだねぇ。
だから直感が「今、読め」とのたまうまで、ずうっと積読さ。
そんなこともあるわけなんだね〜。
でも読書は趣味だから、直感にしたがったっていいんじゃない?
まとめ:本の紹介
憧れの銀河へ旅立った16歳の少女が、頭の中に住み着いてしまったエイリアンと冒険の旅を続ける。
がその先に、エイリアンとの友情と現実問題にはさまれて少女は「冴えたやりかた」を決断しなければならなくなる。
この表題作のほか、宇宙時代におけるヒューマンの相互作用に関する話と、かなり昔のヒューマンとジーロのファースト・コンタクトの話が載っている。
この本の、何がよいって、作中の女性たちが地道に自分のやりたいことに邁進していく姿がうかぶところがいいね。
誰かの、何かの、ついでのような立ち位置ではないところがいい感じだ。
なお、この本はまだ電子書籍化してないみたいだったので、申請しておいた。だってたくさんの人に読んで欲しいもんね。
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