あこがれの銀河へ旅立った16歳の少女が、頭のなかに住み着いてしまったエイリアンと冒険の旅を続ける。
がその先に、エイリアンとの友情と現実問題にはさまれて少女は「冴えたやりかた」を決断しなければならなくなる。
かならず紹介されるこの有名な本を読むまで、時間がかかったんだよね……
【たったひとつの冴えたやり方】のあらすじ
前提の環境がある
話としては3話だが、それらはあるカップルの共同研究論文のために図書館司書がさがし出してくれた古文書、というカタチをとっている。
だから中編の合間につなぎとして、図書館司書とカップルの会話がはさまる。
中編3話にも、はいりやすい。
たったひとつの冴えたやりかた
宇宙に興味シンシンだったヒロインは、16歳の誕生日に両親からプレゼントされた小型スペース・クーペで連邦宇宙の辺境へ旅に出る。冷凍睡眠にはいるまえに連邦基地あてのメッセージ・パイプを拾いあげちゃったことが、彼女の冒険と人生を大きく変えていく。なぜなら、彼女の頭のなかに、エイリアンが住みついてしまったから………
グッドナイト、スイートハーツ
70年も冷凍睡眠を経験しながら、30歳のレイブンは宇宙の辺境でサルベージと救難の仕事にはげむ。燃料切れの豪華な船に回収救難官として乗り込んで作業にはいるレイブンは、豪華船の副操縦席の女性が、年老いたかつての恋人だと気づいて………しかし補給を終えてはなれたレイブンは豪華船が悪党の船に捕捉されたことを知る。助けに向かうと、そこには恋人のクローンが若々しい姿であらわれて………宇宙時代におけるヒューマンの相互作用に関する話。
衝突
リフトと呼ばれる星の密度のうすい、連邦宇宙の北の裂け目。こちら側に連邦が存在するようにあちら側にも〈調和圏〉と呼ばれる宇宙人の世界があった。たがいのファーストコンタクトは、不運なことに、暗黒界の襲撃者たちの悪行をはさんでのことだった。言葉もうまく通じない間柄で、二つの世界は交流できるのだろうか?
名作だから泣けるわけではない
この「たったひとつの冴えたやりかた」には「この小説を読み終わるまえにハンカチがほしくならなかったら、あなたは人間ではない」というある書評家の評が紹介されている、という逸話がついてまわる。
だからさとうは、人間ではない、らしい(泣かなったのでね)
でも、この本が、名作だというのは認める。
あなたは、未知の世界へ冒険に出かける勇気があるだろうか。
あなたには、状況を正確に把握する知識と理解力がそなわっているだろうか。
あなたは、いざというとき、この表題作のヒロインのように腹をくくった決断をくだすことができるだろうか。
この三つをかみしめながらストーリーの楽しさを味わえる展開だなんて、この話自体が「冴えている」。
しかもこんな思いがけない驚きとともに宇宙の旅を続け、さまざまな未知なることを学び、故郷の世界に情報を発信する。
なんて前向きなヒロインなんだ。すごいなぁ。
たとえば自分が話のなかの登場人物だったら、最終的にどんなオチになるかわからないまま、悲劇的な展開のなかを前向きにすすめるだろうか。
そう考えると、著者は作中のヒロインにものすごい試練と賛辞をあたえている。
だからこそ、胸打たれる人もいて「名作」の声があがるんだ。
でも、さとうは泣かなかったけど
さとうがこの本を読んだ理由
この本のタイトルがすごく秀逸な感じがしてたので、いつかかならず読むぞ、と思っていた。
ところがなんでか、なかなか読みたい気持ちになれない。
でも買うことは買った、いつか読むと思っていたから。タイトル的にはすごーく読みたい感じだったのよ。
タイトルが読みたい感じなのに読む気が起きないってなんだろう?
勇気の話は読むまでに勇気が必要だったのかもしれない。
タイトルの日本語は秀逸でも、裏表紙の説明がいまひとつ興味をかき立てなかったのかもしれない。
だから直感が「いま、読め」とのたまうまで、ずうっと積読のまま。
そんなこともあるんだね〜。
でも読書は趣味だから、直感にしたがったっていい。
この本のなにがよいって、作中の女性たちが地道に自分のやりたいことに邁進していく姿がうかぶところがいい。
誰かの、なにかの、ついでのような立ち位置ではないところがいい。
なお、この本はまだ電子書籍化してないみたいだったので、申請しておいた。だってたくさんの人に読んでほしいもんね。
追伸:KindleではなくKoboで
最初に記事を書いてから4年ちかく経つ。
むかしはAmazonで「電子書籍化(Kindle)リクエストボタン」があったので、オススメしたい本でまだ電子書籍化されてないものはリクエストしていた。
ひさしぶりにAmazonを確認したらリクエストボタンがなくなっていた。
あわててググったらこんな記事(Amazon「Kindle化リクエストボタン」が消えていた…)もあった。
企業の倫理はわかりにくい。
文化を、もうけや効率だけで判断するようなところはちょっと下品だなぁと思う。
しかたがないので、電子書籍化は「楽天ブックス」のページからボタンを押すことにした。
まだ電子書籍化がされてない本のページで、下記のようなボタンがあらわれる。
4年ちかく前にAmazonで電子書籍化のリクエストボタンを押したけど、まだ電子書籍化はされてない様子。
そういうわけで、皆さまも(電子)書籍をお買い上げの際は、できれば楽天ブックスからにしていただけるとうれしいかな、と思った次第です(笑)
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