差別されたくないと誰もが思う

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人間って自分に都合いいルールをよく作る。

ボーイズラヴにはオメガバースという設定がある。

それとは違うが、この本のアルファとオメガにも越えられない差がババーンとある。

読者でいるだけならアルファに属していたいと思うような設定だ。

フランチェスカ・ヘイグ(著)

理不尽な苦しみに怯えるか、被差別か

この本のアルファは、正常児として生まれ支配階級としてごく普通に暮らせる。

オメガは異常児として生まれやがて焼印を押され隔離されて暮らす。

問題なのは、必ずこの組み合わせで男女1組の双子として世に生まれてくるということ。

だから成長とともに観察され、立場がはっきりした時点で分離させられる。

この設定がね、まったくもってマンガチックだ。

同時に、現実のメタファーでもある。

さとう

さとう

メタファーって隠喩とか暗喩とか言われている。比喩表現を用いずにたとえる言い方のこと。

だって私たちが生きているこの現実にも、よく見れば差別がたくさんある。

でも世の中そんなもんだからと、面倒くさがって何も改革しないで乗っかっちゃっているよね。

どうかすると「自己責任で」と言い出すトンチンカンな人が出てくる。

ただ読んでいる立場なら、自分はアルファの方にいたいと思っても無理はない。

でも、実はこの設定には恐ろしい条件がもうひとつ、くっついている。

それは、双子の片方が病気になったりケガをしたら、どんなに遠く離れていても残る片方も病気になったりケガをする。

双子のつながりを(なぜなのかはわからないが)切り離せないんだ。

だから片方が突然死んだら、もう片方も同時に死ぬんだよ。

健康や命に関して、一蓮托生なの。

さあ、こんな状態なのにオメガを差別するのかね?

自分たちに同じような不利益がはね返ってくるとは考えないのかね?

この本のアルファが幸せかといえばそうではないことがわかる。

アルファは、資源の少なくなった世界でいつまで欲望を満たしながら生きていけるのかわからない。

そういう不安とともに人生を送らなければならない。

また、いつ突然に死ぬことになるかもわからない。

それは見ないフリ・気がつかないフリをして生きていくしかない。

何の自由もなく貧しく生きていかざるを得ないオメガとくらべて、どれほど安心できるっていうんだろう?

マンガチックだと思う点

話は、薄暗い中をとぼとぼ歩いていくような感じだ。

でも最初から、なんかマンガチックだなという疑問が消せないまま、進む。

それは

  • なぜ必ず、男女の双子で子供が生まれるようになったのか
  • なぜ必ず、片方が正常で片方が異常、という組み合わせで生まれることになったのか

についての説明が、ひとこともないから。

一応、本のストーリー的には、核戦争があって荒廃し400年ほど経っている、という設定がそれについての説明という役割を負っているんだろうとは推測できる。

でもさ、必ず「男女の双子で異常正常のペア」っていうのは、ちょっとマンガ的だよね。

「そういうものだから納得して〜。そして話を読んで〜」っていうのなら、これはファンタジーではないだろうか。

そして不思議なのは、どんなに離れていても片方が死ぬともう片方も死ぬ、というつながり。

何?なんなの?テレパシーとは違うの?

個体として自立はしてないの?

重いテーマについて話しながら、使っている材料はペラペラのプラスチックみたいな印象を受けるのね

さとう

さとう

マンガチックであることが悪いとは思ってない。

そんな印象があるっていうだけ。

さとうがこの本を読んだ理由

最初にも書いたけど、ボーイズラヴにオメガバースという特異な設定がある。

オメガバースついてはこちらを参考にして。両性具有ファンタジーに用いられる設定なので、BLなどが苦手な人はスルーでオッケーです。

さとうは興味があったのでオメガバースの話も読んだことがある。

めっちゃエロエロな感じだった。

同じ「アルファ」とか「オメガ」とかの言葉を使っていても、この話はだいぶ違うだろうなと考え、買って読んでみた。

やはり、だいぶ違った。

エロエロは全然ない。

でも、どちらにせよ、両極端な差別のしくみの中で話は進む。

このしくみの部分が読んでみる気を起こすのだろう。

まとめ:本の紹介

核戦争から400年後の荒廃した地球。〈爆発〉の影響で人類は必ず男女の双子で生まれ、片方が死ぬともう片方も死ぬように運命づけられていた。

一人は正常でアルファという立場、もう一人はなんらかの異常を持つオメガ。

オメガは焼印を押されて隔離される。

しかし外見は正常な、特殊能力を持ったオメガの少女の存在がやがて世界に変化を及ぼしていく。

いまこの本を検索して探すと、だいたいがBLの小説にたどり着く。

アルファとか、オメガとか、言葉の勢いがそっちに流れていくのね。

本を探すのは楽じゃないこともある。

ついでに言うとこの話は3部作らしい。

でも2015年に書かれてから、次の作品が出たというお知らせにはお目にかかれてない。

さとう

さとう

またか〜。よくあるんだよね〜。続きが出ないヤツ。

もし3部作が書かれたらハヤカワさん、お願いですから翻訳して出版して!

フランチェスカ・ヘイグ(著)
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