3000年も前に、まるで未来永劫の罰を受けるがごとくトリーズンという鉄のない星に追いやられた反逆者たちの子孫。
最初に宇宙船を建造した一族には財産と権力と名声を与えるといわれて、鉄を手に入れるための取引に邁進する子孫たちだが、実は彼らには驚くべき能力がさずかっていた。
3000年もあれば目が覚めるはず、なんだけど。
空を見上げるだけではなく
人はさ、今まで持っていたものを失ったり、本当はもらえるはずのものをもらえてなかったりした時、なんとしてもソレを手に入れたいと願うよね。
トリーズンの住人は遠い遠い先祖のせいで追いやられた(と思っている)この星から逃げ出し、故郷である共和国が約束した(と信じている)報酬をなんとか手に入れたいと思い続けている。
もう3000年も!
共和国側が置いていったアンバサダーという転送機械になにかを入れて、価値を認められたら鉄と交換して送ってくれる。
鉄がなきゃ宇宙船はつくれないから、トリーズンの住人はみんな必死になって、鉄と交換してもらえるものをアンバサダーで送り込む。
もう、3000年も!
でもさ、一体いつになったら、宇宙船が作れるくらいの鉄を手に入れられるんだろう?
もう3000年も努力し続けているんだよ?
それでもまだまだ、鉄は貴重品なんだ。全然、宇宙船を作れる量には達しない。
いいかげん、何か他の方法を考えてもよくないかな?
いつまでも故郷だった共和国を当てにして依存してたって、無理っぽくない?
自分たちは特別環境の悪い星に住んでいるわけでもないんだよ?
空ばっかり見上げてないで、足元を見ようよ。
そして共和国側に反逆しよう。
足元に奇跡がある
主人公のラニックの一族には、先祖が遺伝子学者だったため、からだのどの部分を失っても再生できて容易には死なないという肉体的天分が与えられている。与えられているっていうか、そういう風に進化させたんだと思うのね。
うわぁ、もうそれだけで話の行く先がワクワクするわ。
その証拠に、話はすぐにラニックが諸国遍歴をせざるをえない方へと動く。彼は過剰再生症っていう、人としては扱ってもらえなくなる病気になっちゃったから。
でも、国で王の後継としてまっとうに生きていたラニックが運命に翻弄され、失敗や挫折を経験する。
努力と勉強を重ね、狂気と孤独を乗り越えて自由を手に入れ、なお、トリーズンの人々にも自由を受け取らせようとして行動する。
この辺りが快いの。
この話はラニックの心の成長と冒険を駆け足で説明するような話なんだね。
行く先々で出会うのは驚愕の事実。
ああ、80もの反逆者の一族の子孫たちには、その先祖が得意としていた分野からこんな奇跡的な能力が備わるようになってたのか。
体験し習得するとわかる、すんごい技術や能力が、トリーズンにはあったのよ。
でもそれは、アンバサダーに放り込んで鉄と交換することができるようなものではなかった。
ってかむしろ、これらの能力をうまく使ったらトリーズンはユートピアになるんじゃねぇ?って感じ。
3000年も前の約束にとらわれてないで自分たちの足元をよく確かめたら、奇跡が落ちてるんだよ。
うむ〜、すごいわ〜
ちなみにさとうがこの本を買った理由
これってSFなんだけど、ファンタジーっぽくて、最初に出てくる主人公の設定がツボにハマった。
ほぼ死なない再生能力の高い人種って。
うわー、マンガっぽくて楽しいわぁ。
もうそれだけで、即買いだった。
まとめ:本の紹介
今はやりの、ファンタジーを実写にする映画にしたら間違いなくヒットするような話。
次から次へと驚きの能力を持つ一族があらわれて楽しいのよ。
1979年に書いて酷評された作品を著者が10年後に改定してもう一度世に出したの。愛着のある話だったんだろうな。
ドラマチックでマンガチックな感じが読みやすい。
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