2011年に発行された新版に収録されている9作品も、旧版と同様の1950年代の作品だ。
でも、発行するときに翻訳者が訳文をチェックされておられるせいか、旧版と比べて、読んでいても古臭くは感じない。
翻訳しだいで楽しく読める。
新陳代謝とか新鮮味とか、とかくSFには「腐らない」面白さを求められるが、なに、古い作品でも楽しいことがわかったのだよ。
進化というより楽しさは普遍って感じ………短編の説明です
徘徊許可証
200年以上うまくやってきた小さな植民星のたった一つの村に、突然、地球帝国から星間通信が来た。帝国から調査が来る前に帝国の求める規律を敷かなければならない。が、しかし………ねぇ?みんな、いい人たちなのに。
ランデブー
今はロマと言い換えられるジプシーの、強い想いがどういう影響を与えるかを憂える女性と偶然にも知り合った男性の語り。ロマ、って移動型民族のすべてではないんだが。
ふるさと遠く
いつものように、朝、管理人がプールに行ったら見えたものは………短いのに「ほほぉ」と思わせるおとぎ話っぽい作品。素敵。
信念
旧版にも収録されている。詳しくはこちら。
冷たい方程式
旧版にも収録されている。詳しくはこちら。
みにくい妹
誰もがよく知るあの寓話の、本当はこんな裏事情があったとしたら。ありがちなパターンだけど、小気味よく感じるのはさとうが可愛くない方に属するからかなぁ。
オッディとイド
世の中に事故を招き寄せる体質があり、精神分析学の中で認められているとしたら、幸福を誘引する体質もあるのでは?………などとうっかり考えちゃあいけないよ。人間の精神の中に何があるかはいまだに解明されない部分があるからね。
危険!幼児逃亡中
映画でも漫画でも小説でもそうなんだけど、ある種の子供と接するのってめっちゃ大変なのよ。だっていわゆるフツーの子供と接するのだって、本当はすっごく大変なんだから。世の中の常識にまみれた大人が右往左往する話。
ハウ=2
AIやロボットがはびこる今こそ、この話を読もう。もはや、すでに、人間の存在意義は何かに取って代わられているかもしれないし。
もう一度言うけど、古臭くはないよ
作家が選ぶテーマや言葉のおかげもあるけど、翻訳者や編集側の努力も大きい。
圧倒的なデータのような文面でもなく、めっさ新しいテクノロジーや理論推しでもなく、SF初心者にはとっつきやすい本だと思う。
SFって大雑把にいうとこんな仕組みで話が進むのか?と短編で感触をつかんでから長編に挑むのなら、この本はいいかも。
ちなみにさとうがこの本を買った理由
いやぁ、いつまでも古い本のことばかり言っていても、若い人は読んでくれないさね。
だいたい、今手に入れられる本について書かなかったら、読む気も失せるってもんで。
だから慌てて買って読んだ。
新しいのはいいねっ。読みやすいし、楽しい。
まとめ:本の紹介
表題作があまりに話題になったので、ほかのが小粒かと思われるSF初心者の皆様、実はほかの作品もアンソロジーに載せるべくして載った話だ。
選びに選んで本となったものばかりなので、好みの話を探すのにお使いください。
コメント