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自分の想像力が作り出す世界のほうが楽しめた気がする
原作のある映画には、どっちが先か問題がつきものです。
この話、「移動都市」に限っていえば、絶対原作を読むのが先の方がいいね。
何ていうか、小説は面白い話だったのに、映画の方はアメリカ的な制作のせいで面白みが半減したかなと思うくらい、拍子抜けしたストーリーになっていた。
いや、もしかしたら映画は見なくてもよいかも。
映画よりも、このSF小説を読んで自分の想像力が作り出す世界のほうが楽しめた気がする。
それはともかく。
ジブリにも動く城の話のアニメがありましたけど、やっぱり動くものにはドラマがあるよね。
動くものが好きな人も多いし(電車とか車とかバイクとか飛行機とか船とか、あといろいろ)
この話は、都市が丸ごと、スチームエンジン(さとうには仕組みがちゃんとは理解できないんだけど)によって動き回る、というすごい設定で始まっている。
ふつうに考えたら、そんなどでかいものを動かすなんてエコじゃないしエネルギーの無駄遣いになるやん、って思うんだけど、そこはそれ、この話の世界のお約束なんで、深くは問わない。
動くのは資源を得るためで、つまり生き残るため。
動物が餌となる対象を狩るのと、理屈は一緒だね。
だから、その移動都市に住んでいる人間も、獲物を狩る動物と考え方が似ている。
それなのに、都市が移動する機能を持つに至ったたいそうな歴史があるので、移動都市側の人間は自分たちを「文明が進んでいる側」だと信じているのよ。
いつも思うけど、話の中の人は、自分たちが正しいと信じて動くのよねぇ。
読んでるさとうは一応「第三者」という客観的な立場から始まるので、そういうのが見えて面白い。
レトロな未来へようこそ
SFには「スチームパンク」というジャンルがあります。
いろいろ説明のために検索したけど、一番わかりやすいのはこの説明かな。
スチームパンク(Steampunk)とはSFのジャンルのひとつ。 意味合いとしては「産業革命の原動力となった蒸気機関が、現実の歴史における絶頂期のありようを超越して発展した技術体系や社会を前提としたSF作品」などと形容することができる。
ピクシブ百科事典
ふつうSFっていうと、科学技術なんかが最先端のものをさらに先へと超えさせている感じがするし、作品の中にも夢のような、自分じゃ想像もできないくらいの技術を使った仕組みが表現されているよね。
でも、スチームパンクって、作品の中ではすごく発達した最先端の技術になっているけど、ふと立ち止まって考えてみると、そもそもが蒸気機関が発達したんだよね?ってなる。
そう思うと、仕組み自体がちゃんとわかってないのに、な〜んか馴染みのあるものを使ってもらっている感があって、SFなのに身近な感じに陥るわけです。
基本が「蒸気機関」なもんだから、さとうみたいなやや高齢者には"なんかちょっと知ってる感"が持てて、つまりレトロさを感じることができるってわけ。
未来の話をしてるのに、レトロ感、なんてさ。ちょっと楽しい。
ちなみにさとうがこの本を買った理由
都市が移動する話だよ?
え?どんなふうに?って思わない?
なまじジブリの動く城のアニメを見ちゃってるから、都市が動いたら何がどうなるのよ?って、興味が湧くじゃないの。
いやあ、もうさ、積読の古い本がいっぱいあるのに、買っちゃったよねぇ。
そして読んじゃったよねぇ。
まとめ:本の紹介
「六十分戦争」と呼ばれる大災厄から1000年以上過ぎた未来で、人類は生き残るために都市にスチームエンジンとキャタピラや車輪をつけて移動し続ける。
物資や働き手となる奴隷を補充するために、都市同士が互いに共食いをし、弱肉強食で時代が進む。主人公たちは、ちょっとした事件をきっかけに都市の外の世界をさまよう経験を重ね、世界がどうなっているのかを知ってゆく。
この本は、4部作の1作目です。この先も主人公たちの冒険は続くんだね。積読を何とかしながら読んでみようかな。
追記:映画化の時の表紙の下は……
さとうが買った本は、なぜか表紙カバーがちょっぴり小さめで、中身がちょっぴり見えそうだった。

なんやねん、と思ってめくって見たら………

普通の表紙カバーが出てきた。二重になってたんかい。
追記2:映画で唯一、良かった点
しょっぱなに書いた映画の話ですが、ただひとつ良かったと思ったのは、アナ・ファン役の女優・ジヘさんがカッコ良かったこと。
甘ったるい感じが全然なくて、カッコ良かったわ〜。