「大切なのは、ストーリーの終り方だ」by著者

Speculative Fictionって、こういうこと?

SFっていろいろな言い方があるのは前にちらっと説明した。この本は短編が集まったアンソロジーのようなもので、表題作はもちろん面白い。でも全体的に「Science(科学的) Fiction」ではなく「Speculative(思弁的) Fiction」が色濃い感じがする、のはなぜだろね?

さとう
思弁的、っていうのは経験によらず、思考や論理にのみ基づいている様子を言うのね

「作品の発想にはほんのわずかな意味しかない」by著者

さとうの持っている1985年発行・1991年第2刷の古〜い本には、珍しくも著者本人のあとがきが付いてます。

やっぱり、ボロボロなん、さとうの古本

そこで著者は(おそらくデビュー後数年の、初期作品集なので)作品たちがどういう経緯で生まれてきたかを、ちょろっと告白してます。

小説家が創作の、書き方というか発想を教えてくれるって、小説家になりたい新人さんにとっては興味津々だよね。

でも著者はあとがきの締めに「なかんずく最も重要なのは、ストーリーの終り方だ」と書いてるわけなの。

アイデアが勝負!……じゃないんかいっ!

しかしそんなことを書いているこの本の、面白いところは、やはり独創的なアイデアで始まるストーリーの数々な訳で。

ややハードなものからおとぎ話風まで………13の短編集です

ブリキ細工の偶像

目次よりさらに前に、短い詩があります。正しく読み解くのは難しいけど、著者の、SF作家として臨む立ち位置みたいなものかなぁと思ってる。

序───作者への公開書簡───

「ブリキ細工の偶像」を受けての、著者を見出しデビューさせた編集者の、作家へのエール。なんか、こんなものが作品集に載るなんて、ほのぼのとした時代だったねぇ。

エンダーのゲーム

10代になったばかりの天才指揮官が、戦争ゲームを命がけで展開する話。はじめ、この短編を読んだ時に「アイデア勝負!」「むしろ長編は冗長」とか思ったんだけどね。詳しい紹介はこちら

王の食肉

さとうはおそらく、ヴェジタリアンにはなれない。だから食事をいただく時はありがたく感謝して、残さず食べるようにしている。旨いものを食べるって、別の角度から見れば残酷なこと。この話は、優しい残酷さについて語ってる。村の中にただ一人、五体満足な羊飼いがいるのは………

呼吸の問題

時々思うよ。細かいことが気になる人は、よくよく吟味して本を読むとか、映画を観るとかしないと、生きづらくなるって。呼吸のリズムが合うことなんて、考えてみたら結構あるんじゃないの?リズムが合うことでよくない将来が暗示されてるなんて、考えないほうがいいんじゃないの?

時蓋(タイムリッド)をとざせ

何がイヤって、怖い思いがイヤなさとうは、この話の運転手に同情するわ。自分のせいでもないのに、短時間のうちに何度も何度も怖い思いを繰り返す羽目になって、気の毒としか言いようがない。家庭用(つまり個人用)タイムマシンなんて、管理不行き届きが有りがちで迷惑だわ。

憂鬱な遺伝子を身につけて

人間や地球の進化が、いろいろなルートをたどった挙句、①想像もつかない形に様々に変わっていき、その結末は千差万別、②想像もつかない形に様々に変わっていきながら、結局一つの結末にたどり着く、の二択だとしたら、君はどっちがいいかね?映画でも猿が進化したヤツ、あったけどね。どうよ?

四階共同便所の怨霊

これ、SFというよりホラーだね。映画だったらさとうは絶対見ない。でも、読み終わって思うのは、人でなしな行為を犯してしまった奴らはもれなくこういう風に追い込まれたらいいよってことさ。カァッ!

死すべき神々

古来、人間の(特に権力者の)願望は不老不死。でもね、本当に不老不死になったら、人間は本当にその状況に耐えられるのかな。神というのは、どんな立場の人を言うのか、考えちゃうね。異星人たちは、そのあたり冷静だよ。

解放の時

別の本の紹介の時にも書いたと思うけど、自分の記憶は確かに自分の味方なんだろうか?って思う。そもそも見知らぬ人の棺桶が自宅にちょっとだけ置かれてる状況って、何?

猿たちはすべてが冗談なんだと思い込んでいた

さとうが「Science」よりも「Speculative」が色濃い感じがするといったのは、この短編集全体のことでもあるし、この話を読んだからでもあるんだね。個人的にはヘクトルの3と4の話がわかりやすく面白かった。集合体の物語と支配者の物語。巻き込まれたシリルは不運で気の毒でしかない。

磁器のサラマンダー

呪いや祝福や魔法が力を発揮する〈麗しの地〉に住んでいたら、やたら滅多なことを力と思いを込めて叫んではいけません。そして自分に都合よく問題を解決してくれる手段が降って湧いてくると考えてはいけません。これはそういうおとぎ話です。

無伴奏ソナタ

完全で平和で幸福な世界で法律を破るということは、社会に適応不能な犯罪者になるということ。天才が犯罪者になってしまうということは、なんと悲しいことだろう。罰を受けた時に初めて「飢え」に気づくのだ。

まとめ:本の紹介

やはりね、さとうが読んでた本は古いので、読んだ感想としては若干古臭い(表現がだよ、ストーリーは良い)新刊が出てるものは新刊を読まねば、だね。

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