レトロ、と保守主義は違うよ
スターウルフ・シリーズは1960年代にハミルトンが書いたSFなので、いま読むとホントにレトロな感じがする。
残念ながら本当に古い話なので「男が稼ぎ、女は家を守る」的な考え方が、宇宙の果ての星にも作用している。
そこが、読んでいると、ちょっと残念なところ。
前にも書いたけど、SF作家といえどもすべてにおいて先進的な考えかたで書き進めることはできないんだよね。
20世紀前半に生まれ育った作家が、たとえSF小説を書くことになっても、自分が受けた教育の影響をゼロにするのはむつかしい。
ただ、Wikipediaによれば、レトロとは。
懐古趣味のこと。 思想的・政治的に過去の価値観を軽視せず伝統を重んじる保守主義とは異なり、サブカルチャー的な世界における「古き良きものを懐かしみ愛好する」趣味を指す。
wikipedia retrospective から。
………というわけで、このレトロなSF小説は、思想的・政治的に男女の役割差別を書こうとしているわけではないことを、理解してね。
そこをきちんと分けて考えてから、「男の作家はなんだかなぁ、もう」と思ってね。
はじめから「男尊女卑かぁーっ!」って怒らないでねってことなのさ。
いよいよ都合よく里帰り
当初は外人部隊としての賞金稼ぎな仕事のフリなんだけど、もうタイトルが「望郷の」ってなってるからバレバレだよね。
今までの2冊(さすらいのスターウルフ・さいはてのスターウルフ)でも、チラチラとヴァルナのことを思い出していたケインなんだけど、今回いよいよ、せっぱつまったテイの帰郷となるの。
それは賞金をかけた仕事がどうにもこうにもうまくいかなくて、おまけに恩人ともいえるディルロが死にかけるほどのダメージを受けるわけ。
それが自分のせいだと思い、突破口はたったひとつ、ヴァルナ人を利用することだと考えちゃうわけなんだ。

おお〜、略奪において右に出るものなしの、ヴァルナ人!
自分が殺されるかもしれないというのに懐かしさも感じて、ケインは仕事のために故郷に戻っちゃうんだね。
いやいや、ふつうさ、殺されるってわかってたら里帰りはしないでしょ?
まあ、そこがいろいろと都合よく話が進むんですな。もちろん、ちゃんとスジは通っている。
でも、やっぱりと思うような都合のよい人情話も、あったりしてさ。
そのあたりが、レトロなわけ。



まあいいじゃん、話は進むんだし
ちなみにさとうがこの本を買った理由
「さすらい」を読んで、「さいはて」を読んで、「望郷の」ときたら読みたいよね。
主人公のバックグラウンドを知りたい。これ、どんな趣味でもあたりまえにある、マニアやオタクに必須の欲望なのよ。
もう読むに決まってる〜。
まとめ:本の紹介
銀河系最大の秘宝を、こともあろうにスターウルフに盗まれたアルケナ星系政府は、莫大な賞金をかけてこれを取り戻す者をつのる。
ケインは仕事にかこつけてスターウルフの本拠星系に向かうが、仕事は思ったりにはいかず、自分の命がかかっていることを承知でヴァルナ星に向かうこととなる。
秘宝は取り戻せるのか?ケインは生きて帰ってこられるのか?外人部隊のメンツは無事でいられるのか?
まあ、昔の楽しい冒険マンガを読むみたいな気分で読んでみて。
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